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就業規則の作成が必要なケースとは
労働基準法では、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出なければならないとされています。(正社員だけでなく、パートタイマーも人数にカウントされます)
しかしながら、現在の労働者の数が10人未満の会社であっても「法令違反ではないのだから就業規則の作成なんて必要ない」という考え方は非常に危険です。
就業規則とは、会社と従業員双方が守るべきルールを規定した、いわば会社の憲法です。従業員が個々に勝手な行動をとったり、経営者の気まぐれで処分をおこなうことがあれば職場の秩序は乱れてしまいます。労働条件や服務規律を明確にし、それを従業員に示すだけでも確実に意識は変化します。社内のルールを明確に示しながら従業員に安心して働いてもらうことで不用なトラブルを防止しましょう。
リスク回避型の就業規則の重要性と、その適切な運用
未払い残業代、解雇に関する問題、不良社員がいる、うつ病休職者がでた、などの職場の労務トラブルに関するご相談はお問い合わせの中でも非常に大きなウエイトを占めております。もちろん、その場で目の前の問題を解決していくこともとても重要なことです。
ですが、そもそも“問題が起こる原因は何なのか”これを究明して、あらかじめリスクの回避策を講じておかなければ再び同様の問題が繰り返されることになります。
人の管理の重要性をあまり意識していらっしゃらないこと、そして、管理を行うための基準・ルールが曖昧であり、就業規則が全く機能していないということです。
「基準」と申し上げますと皆様そろって、堅苦しさを覚え、一見従業員にも嫌厭されがちです。ですが、基準がなければ従業員を評価し管理を行う際にも、“感情のままに・人によって態度が違う・その日の気分で”など、一歩間違えばハラスメントにも発展しかねない状況を何気なく生み出してしまうのです。
このような状態では、会社は非常にリスクを抱えていることになります。
例えば、「会社の指示に従わない問題社員がいる」「不当解雇を訴えられる」などこのような職場のトラブルが発生した場合はいかがでしょうか。
遵守すべき服務規律や懲戒の項目が明確でなければ、従業員は職場でどのように行動すればよいのか分からない状態です。更に、いくら会社が問題社員だと思っていても、それを指摘・教育されなければ本人が気付かないケースも十分にあり得ます。職場のルールや解雇の基準も曖昧、反省の機会も与えられずに急にクビにされたとあっては、やはり会社が不当な取り扱いをしたと認定されても仕方がないのです。
このように、いざトラブルが発生したときに会社側の正当性を立証するための就業規則や日々の記録、証拠がないということは会社にとって非常に致命的です。
ですから、まずは就業規則で会社と従業員が守るべきルールを明確にすること。そして、規定されたルールに沿って適切な管理を行なっていくことがとても重要なのです。
社内で起こりうるトラブルを意識した就業規則を
まずは、トラブルを未然に防止できる就業規則を整備することが会社を守る第一歩につながります。就業規則の内容を見直し、変更したい場合はどのような点に注意すればよいでしょうか。日頃、職場で感じている問題点があれば、是非一度整理してみるのがいいでしょう。その課題に対して、どのように改善していけばよいか見直し、就業規則の中で具体的なルールを決めていくという作業になります。
特によく起こりうる問題の一例を挙げてご紹介いたします。
就業規則の見直しや変更をお考えの場合は、参考にしてみて下さい。
トラブル例 |
就業規則に規定する内容 |
●無断欠勤を繰り返す問題社員がいる |
・欠勤時のルール |
●私傷病で休職する従業員がでた |
・休職期間の設定 |
●残業代を定額で支払っている |
・何時間分の残業代に充当されるのか |
●パートやアルバイトからも賞与や退職金を請求された |
・就業規則に規定されている項目の適用範囲が明確になっているか ・同一労働同一賃金の問題にも注意。 ⇒パートタイマー・有期契約労働者・アルバイト等の雇用形態の違いを正確に定義し、賃金、手当、福利厚生、教育訓練に至るまで、正社員と非正規社員との違いを整理していきます。そのうえで、各種手当や福利厚生がどのような性質のものであるか、明確に定義することが必要です。 |
●会社の悪口をSNSに投稿している従業員がいる |
パソコンの取扱い規程やインターネット・SNSに関する服務規律や懲戒の項目が設けられているか。 飲食店やコンビニ店のアルバイトが店内で悪ふざけをしている動画がSNSに投稿されるといったトラブルも話題になりました。SNSが広まったおかげで、ひと昔前には考えられないような問題にも対処しなければならない場面も想定されます。 ⇒時代に応じた服務規律をしっかりと規定しておく |
このように、起こりうるリスクに対して、出来るだけ具体的にルールを決めていくことが重要です。更に、ルールに違反した場合の懲戒の項目についても見直しておくといいでしょう。就業規則に規定のない懲戒は行うことができません。もちろん、曖昧な内容であれば懲戒を行う際の判断もしづらくなりますので、こちらも出来るだけ具体的に明記した内容へ変更していただく必要がございます。
就業規則の診断もお任せ下さい
当事務所では就業規則の診断も行っております。
- 会社と従業員間でトラブルが起こった時に会社を守ることができるような規定になっているかどうか。
- そもそもトラブル自体を未然に防ぐことができるようになっているかどうか。
- 労働基準法、その他の法律を遵守した規定になっているかどうか。
- 最新の法改正に対応した内容になっているか。
などについて、丁寧に診断を行い、現在の就業規則に潜んでいるトラブル要因を洗い出します。また、何をどのように改善すればいいのかを分かりやすくアドバイスさせていただきます。更に、利用できる助成金がある場合は助成金申請に必要な規定内容についてもご紹介させていただきますので、就業規則について気になる点がある会社様は、就業規則の診断についてもお気軽にお問合せ下さい。
診断費用50,000円~(会社の規模、規定内容のボリューム、諸規程の数などにより費用は異なります)